講師紹介
天野 明弘氏
昭和9年生まれ。
神戸大学経営学部、神戸大学大学院、米国ロチェスター大学大学院修了。
経済学博士。
現在、関西学院大学総合政策学部教授、神戸大学名誉教授。
1.環境と経済
環境経済学とは、「経済学の見方と分析手法を用いて環境問題を研究し、それを解決する方策を明らかにする学問領域である」といえる。
ギリシャ語では、環境と経済はもともと同じ語源から出た言葉であり、両者の間には本来密接な関係がある。
人類に対して自然環境が果たしている機能を大きく分けてみよう。
「原料・エネルギーなどの供給源としての機能」、「排出物・廃棄物の吸収源としての機能」、「オゾン層、温室効果、生態系などの生命支持機能」、そして「生活の快適さを与えるアメニティー機能」という4つの機能が考えられる。
経済活動は、これらの機能のいずれとも密接な関係をもっている。
それらの関連性を見失わないために、経済活動と環境の関係を考える際には、次の4つの視点を明確に意識していることが大切である。
第1は相互依存性である。
環境媒体(大気、水、土壌など)、生産技術、汚染物質などは相互に複雑に絡み合っており、経済活動間の相互依存性とともに、より複雑な環境と経済との相互依存性を明らかにしなければならない。
オゾン層破壊物質が規制されると、それに代わるものとして開発された代替物質が今度は地球温暖化を促進したり、廃棄物の不適切な処理方法によって、さらに新たな土壌汚染を引き起こすなどの簡単な例はいうまでもない。
総合的な視点を欠く政策によって環境問題の基本的解決から程遠い対症療法的施策に頼ることのないような考え方が求められている。
第2は、長期的視野をもつことである。
一般の人々、とりわけ経済人の時間的視野は科学者のそれよりもずっと短い。
しかし、地球温暖化のような100年を優に超える期間にわたり影響を与え続ける環境問題、つまり自分の寿命よりもはるか先の後世に悪影響を残すような活動を自らが行っているということを、現代社会に暮らす私たちは認識する必要がある。
第3は環境の利用が社会全体に費用負担を課しているという認識である。
環境汚染を直接的に発生させる主体が、まずその費用を支払うという「汚染者支払原則」の確立である。
そして第4は、公共性のある共同利用資源の適切な管理のために、社会の構成員間の合意と協力が不可欠であり、それを確保するような制度的仕組みが必要なことである。
以下、最後の2つの点について詳しく検討しよう。
2.経済システムと環境問題 環境問題を経済学からみた場合、環境に対する経済システムの関与について次の2つの点が強調される。
3.外部費用 経済活動の中で、市場での取引を経由せずに、ある主体の活動が直接外部の主体に対してプラスあるいはマイナスの経済的影響を与えることがある。
政府が私的企業の行動に直接介入し、それを規制することで外部費用を強制的に汚染発生主体に負担させることもできる。
環境負荷の大きい活動が常態である場合に、その状況をそのままにして環境負荷を下げようとすれば、活動量を下げなければならない。
4.汚染者支払原則 OECDは、外部費用を内部化するための原則として、汚染者支払原則を提唱し、1970年代の初めから今日まで一貫して加盟国に推奨してきた。
汚染者支払原則とは、汚染発生の直接的段階にある主体に外部費用を支払わせるという考え方である。
欧米諸国では、このような汚染者支払原則が広く社会に受け入れられつつあるのに対して、わが国ではそれが社会的に容認されているとはいえない状況にある。
ちなみに、欧米の産業界では生産・使用・リサイクル・廃棄のための環境費用を財・サービスの価格に反映させることをフルコスト・プライシングと呼び、環境政策としてこの方式を採用すべきだと考える民間団体が増えつつある。
5.外部費用と世代間の資源配分の効率性 長期にわたる公共プロジェクトの評価に際して、将来の費用と便益を割り引いて現在価値に直し、その比較に基づいてプロジェクトの選択を行うという考え方がある。
地球温暖化防止政策を考えるにあたっても、民間資本市場で観察される実質割引率を用いて割引を行うべきであるという考え方は米国などに多い。
この議論は、現在消費を繰り延べて投資にまわす際に、資本市場で観察される実質利子率で将来の生産増加が実際に測れるという前提にたっている。
6.公共資源の管理 環境資源の多くは、公共財としての特徴をもっている。
排除性は小さいが、資源利用の競合が生じるものは、共同プール資源とよばれる。
歴史的には、土地や水などのように古くは私有財産でなかったものが、希少性の高まりとともに財産権が社会的に認められ、共同管理や私的管理が定着してきた。
7.環境負荷の少ない経済社会のルール それでは、環境費用を内部化し、「コモンズの悲劇」を回避するための経済社会のルールとは何か。
対象となる環境資源が国際的な共有資源の場合には、その環境のもたらす便益や、それを保全するための費用に対する認識が国際的に異なることが少なくない。
また、協定参加数が全体に及ばないような場合には、協定参加国だけで政策を実施することは、効果の面でも、また効率性の面でも問題が生じ易い。
8.環境政策手段の多様化と位置づけ
国内における環境政策のあり方としては、大きく分けて上表のような諸形態が考えられる。
下図は、政策手段の拘束性と汚染削減の強度の関係から、政策手段の代表的タイプの特徴を図示したもので、横軸は環境汚染削減の強さ、縦軸には政策手段の拘束性の程度が測られている。
わが国では、環境税や炭素税を始めとする経済的手法に対する産業界からの反対論や、助成措置の要求、あるいはそれらに代えて自主取組みを求める議論が多い。
9.実際的な政策手段の例 実際に用いられている環境政策手段の例をみれば、有効性、効率性、受容性など複数の評価基準を考慮して、いくつかの手段が組み合わされていることも多い。
10.市場経済システムの変革に向けて 現在の環境汚染の規模とスピードからすれば、多くの先進地域での発展パターンは持続不可能なものと考えられる。
11.地球温暖化問題への適用 最後に、以上のような考え方を地球温暖化防止政策に応用してみよう。
昨年暮れの「京都会議」(気候変動枠組条約第3回締約国会議)では、温室効果ガスの排出量抑制および削減の数量的目標と、それを達成する手段として先進締約国間ならびに先進締約国とその他締約国との間で排出削減単位を国際的に移転するこ
とができる制度の創設が決定された。
発展途上国は、今回の交渉では新たな責務を負うことにはならなかった。
参考文献
1つは外部費用と呼ばれる費用の存在であり、これを明確に考慮に入れた社会経済システムの構築が今後の重要課題である。
もう1つは公共財の問題である。
地球規模で普遍化しつつある市場経済システムは、一般に公共財を最適に供給できないという問題を抱えているが、この特徴が環境問題にも大きく関わっている。
これを外部性または外部効果と呼ぶ。
外部費用とは、マイナスの外部効果によってもたらされる費用のことで、これが環境問題を悪化させる一因である。
通常の財・サービスの生産費は、原料・エネルギー、賃金、資本費用などから構成される私的費用であり、市場経済ではそれに基づいて価格がつけられる。
企業間競争が盛んな市場経済システムでは、この私的費用を最小限に低減するための真剣な努力がなされ、それが資源の効率的な利用を可能にしている。
肉食動物が、子孫の維持に必要最小限の殺生しかしないのと同様に、競争的市場経済システムでは、私的所有に係る資源については、その利用を必要最小限に止める工夫が絶えずなされている。
しかし、環境資源が利用される場合には、私的費用の他に外部費用が発生するが、市場経済システムではこれは費用として認識されない。
したがって、私的費用と外部費用の双方がかかっているにもかかわらず、私的費用だけに基づいて価格が設定されるため、本来の費用よりも低い価格で大量生産・大量消費が行われ、環境資源利用の節約を図る努力はされないことになる。
むしろ、私的資源を環境資源に代替することで私的費用の節減が可能な場合には、環境劣化が奨励されるようなシステムになっている。
しかし、市場経済システムの特徴をより有効に利用する方法として、経済的手法と呼ばれる政策手段がある。
すなわち、税や課徴金などの財政的措置によって、外部費用を単位あたりの費用として企業に賦課すれば、それは費用として認識され、通常の私的費用と同様に削減努力の対象となる。
これを「外部費用の内部化」という。
また、その費用が価格に反映されれば、消費者の選択にも影響を与え、環境負荷の少ない財の消費へと転換させる誘因ともなる。
企業の費用削減努力は、外部費用の少ない技術、すなわち、環境負荷の少ない技術を開発するための強力なインセンティブを与えることになる。
他方消費者の反応は、通常の消費活動が意図せずして環境保全行動となることにもつながる。
しかし、同じ財の生産でも、環境負荷の少ない方向へ生産過程を切り換えることができれば、活動量を下げることなく環境負荷を低減できる。
同様に、類似の機能を果たす財が1種類しかない状況から、複数の選択肢の中から環境負荷の少ない種類の財を選べるようになれば、消費量を下げなくても環境負荷を低減できる。
環境負荷の低減は、このように活動量の低下よりも、むしろ方法や方向の選択によって実現されることが多く、経済的手法は、そのような選択を促進する傾向が強い政策手段といえる。
欧米各国ではこの考え方が時代とともに浸透し、また各種の国際会議や地球サミットでもこの原則の重要性が再確認されている。
ドイツの「閉循環型廃棄物管理法」は、廃棄物処理に対してこの原則を徹底して適用した好例である。
費用負担者がそれを可能な限り節減しようとすることを考えれば、直接発生段階で削減努力をさせるため、そこで支払わせるという考え方には十分な合理性がある。
家電製品の待機電力のように、エネルギー多消費型の設計で製品が生産されてから使用者がエネルギーを節約しようとしても、十分な誘因も働かないし、効率的に節減する方法もないといった例を考えれば、このことは明らかであろう。
そして、生産者は費用を消費者に転嫁することも可能だから、最終的な負担は消費者が負うことになるかもしれない。
その場合でも、消費者が自らの対応によって同じ結果を生み出すための費用よりもずっと小さい費用負担で済むことになる。
それは、わが国では厳しい公害対策の一環として公害費用負担の原則が定められ、OECDの汚染者支払原則のような経済原則、すなわち外部費用の内部化という環境費用の意思決定への取り込みのための原則と、過去になされた環境汚染の回復費用や被害者救済費用の責任を追及するという法的原則との2つのタイプの原則を一括して「汚染者負担原則」と呼んでいることが原因である。
したがって、欧米諸国のように「汚染者支払原則」を厳格に適用しようとすると拒否反応を示すものが多く、日本式の汚染者負担原則は、OECD型の原則を社会に浸透させる上で大きな障害になっている。
また、OECDの汚染者支払原則では、汚染主体に補助金等の財政的助成を行うのは原則の主旨に反するため、原則的に禁止すべきであると考えられているのに対して、わが国ではむしろ財政的助成措置に環境政策の高い優先順位を与えているという別の問題もある。
市場経済システムでは、さまざまな主体が費用最小化、資源の効率的利用をいわば本能的に行うという特徴を活用し、環境資源の利用も同じ原則に従わせる形で市場経済システムを修正する必要性が認識されてきている。
その意味でOECDの経済原則型の汚染者支払原則が国際的標準になりつつあるといってよい。
わが国でも汚染者負担原則の考え方を整理し、OECD型の汚染者支払原則と責任追及型の汚染者負担原則とを区別して、それぞれに適切な役割をもたせるような政策の整理が必要である。
地球温暖化防止政策の検討の際にも、この考え方が踏襲されることが多いが、100年から200年にわたる影響の評価に通常の割引率を適用すると、将来の環境影響を無視するに近い評価を行う傾向が生じる。
これは、資源の効率的な配分を行うためには、将来の生産のために資源を投資に向けて現在より何%か多く生産できるその割合と、消費を現在から将来へ繰り延べる際に何%か多くの消費量を代償として求めるその値(人々が将来の消費を割り引く率)とを等しくする必要があるという根拠に基づいている。
つまり、将来高い消費を得るために現在の消費をがまんしようとする割引率と、実際に消費をがまんして投資することで、将来生産が増える率とがつりあわなければならないという議論である。
しかし、民間市場は環境劣化という外部費用を考慮せずに資本の生産性を評価しているため、将来の生産増加率は、正確にいえば外部費用の部分だけ過大評価されている。
つまり、消費をがまんして投資に向けても、環境劣化の費用を考えれば、資本市場の生産性評価で示されるほど将来の生産は実際には増加しないのである。
このように、外部費用の存在は、各時点での資源配分を歪めるばかりでなく、世代にまたがるようなダイナミックな資源配分をも歪める効果があることに注意しなければならない。
公共財というのは、ある人がそれを利用しても他の人がそれによって利用を妨げられることはない(利用の競合が起こらない)という特徴がある。
したがって、すべての人が同じ量の供給を受けて、それを同時に利用する。
公共財はまた、人がそれを利用するのを排除できない(排除しようとすると大きな費用がかかる)という特徴もある。
多数の利用者が共同で使っていながら、費用を負担しない利用者を排除するのが難しいために、各人が他人の費用負担をあてにして自分は費用を負担したがらない傾向が生まれる。
したがって、市場経済システムでは一般に公共財が過小に供給される傾向がある。
環境保全についてもそうである。
漁場や自由にアクセスできる放牧地が、その例である。
各人が費用負担をせず、われ勝ちに自分の利益を最大限追求しようと利用するために、共同プール資源は完全に荒廃するまで利用され、結局はすべての人が損失を被ることになる傾向は、「コモンズの悲劇」と呼ばれる。
コモンというのは共同利用資源で、自由アクセスのものも、共同管理に服しているものもあり、コモンがすべて荒廃してしまうわけではない。
しかし、地球温暖化の場合の成層圏の大気、オゾン層破壊の場合のオゾン層、酸性雨の場合の対流圏の大気などは、いずれもその汚染や劣化を「コモンズの悲劇」とよぶにふさわしい例であろう。
したがって、原理的には環境資源についても、国家機関(あるいは国際条約)による管理、共同体による管理、あるいは財産権の付与による私的管理のそれぞれの管理形態が考えられる。
一般的には、次のようないくつかの原則が考えられる。
まず、環境資源のもたらす便益と環境劣化の費用との適切なバランスを図る必要がある。
そして、可能な場合には市場メカニズムの特徴を活用してこのバランスを達成し、あるいは費用効果的な負荷軽減をもたらすために経済的手段を活用することができる。
このような場合には、汚染者支払原則を同じ基準で適用することは不適切となる。
便益や費用の差異に応じた差別化手段を採用するか、あるいは共通の手段を用いながら、便益や費用の格差を補正するための国際的資金移転を併用する必要があろう。
このような場合、少なくとも非参加の状態より悪化させないような保証を提供することで協力国を増やすことが必要である。
民間主体の自発的行動 自主取組み
民間と政府の協議 自主協定
政策的介入
直接規制 諸基準と法的規制
経済的手段 税・課徴金、排出許可証取引、デポジット制度、助成措置
情報・啓発 情報公開、普及・啓発、環境倫理教育
それぞれ固有の特徴があり、それらを活かしながらそれぞれの役割に応じた使い方をすることが必要である。
直接規制は拘束力が最も高い手段で、確実性・緊急性が必要とされる場合に適している。
排出許可証取引制度は、排出許可総量を設定する点は直接規制に近い性格をもつ反面、許可証が取引できる点で経済的手法の柔軟性を備えている。
税・課徴金は、経済的手法の代表的手段であり、経済的効率性もしくは費用効果性の高い手段であり、市場システムのもっている効率性を活かして環境負荷を低めることができる。
しかし、確実性や緊急性は直接規制ほどではない。
直接規制にしろ間接規制にしろ、民間の行動を制約するので、受容性は高くない。
既得権を認めるか、助成措置を講じるのが受容性は高いが、政策効果は低くなる。
これらの議論は、既得権擁護のための議論、環境政策の採用に付随する所得分配上の変化に対する反対論ではないか、また、経済的負担を他の構成員に転嫁して負担を削減するための議論ではないか、さらに現状維持のための議論ではないかなど、これらの疑問に答えて政策の妥当性を判定するには、有効性、効率性、公平性などの諸基準をすべて動員してこれらの議論の正当性を検証することが重要である。
環境税・課徴金の特徴は、(1)良好な環境を保全するための費用に関するシグナルを人々に明確に伝える、(2)経済主体に最も効率的な環境負荷削減方法を選択させる、(3)削減技術導入への誘因を与えて効率性を高めるなどの効果の他、(4)歳入をもたらしそれを他の税の減税や他の環境計画の助成に用いることも自由であるなどの点である。
この手段に代えて助成措置や既得権に移行することは政策の有効性を低め、他方直環境税・課徴金に代えて直接規制を用いると、効率性を低下させたり、所得分配を汚染主体に有利になるように変更する効果(逆にいえば環境汚染にともなう費用負担を汚染主体から社会一般へと移す効果)をもっている。
地球温暖化防止政策として京都議定書で導入が定められた排出割当制度は直接規制と経済的手段の混合形態とも考えられるし、ドイツの排水課徴金制度のように排出基準と排出課徴金を組み合わせたものもある。
大陸ヨーロッパでは、排出課徴金と助成措置の組み合わせも多く見られ、ドイツやオランダでは自主的取り組みと直接規制を組み合わせた自主協定がある。
米国の電力業界における炭素オフセット取引は、政策当局の直接規制導入を予想して、それを先取りした自主的取り組みといえよう。
また発展途上国の中にも、先進国に比肩できる国や、急速に発展のテンポを高めている国々は、持続可能性から遠ざかりつつある。
このような状況の下で、既存の直接規制型あるいは助成型の政策措置で対応するのは、今後ますます困難になるであろう。
市場経済システムに内在する2つの欠陥を是正し、外部費用を内部化するとともに公共資源管理システムを構築することが、袋小路を打開する途である。
地球規模の環境資源についても、国際的共同管理の柔軟な仕組みを構築し、それにそれぞれの地域や国の実状に応じた環境費用内部化のための制度を関連づけることが、世界を持続可能な発展へと向かわせ得る、数少ない道筋ではないだろうか。
まず温暖化を緩和するための措置をどのようなタイミングで実施すべきかについては、米国では緩和政策をなるべく遅らせ、将来に繰り延べることが費用効果的な政策であるという意見が多い。
しかし、この結論を導くために置かれている前提を吟味すると、いくつかの点で再考が必要であることが分かる。
第1に、対策評価の際に市場の実質割引率を用いるのは、高すぎるのではないか。
第2に、温暖化防止技術の開発に関する前提が非現実的ではないか。
第3に、遠い将来の大気中濃度だけを考えて途中の過程での温暖化のスピードを無視するのは危険ではないか。
これらの問題について検討を加えると、もっと早い対応をとるのが適切な政策であるという結論を導くことができる。
その細目を詰める交渉は、本年11月にブエノスアイレスで開催される第4回締約国会議で行われるが、これは環境政策の経済的手法が地球温暖化防止政策の一手段として国際的に活用されることを意味している。
温室効果ガスの排出削減、吸収増大に関する数量的目標は法的拘束力をもつものであり、それを確実に履行するために国内で排出削減、吸収増大の推計制度を確立し、国別約束の履行を担保するための国内政策を実施しなければならない。
先進国間の排出権取引や、発展途上国との間で行われるクリーン開発メカニズムへの参加を円滑に行うためには、国内的な経済的手法の準備がきわめて重要な課題になる。
しかし、来世紀以降における発展途上締約国の協力行動を促すためには、技術移転や資金移転を含むクリーン開発メカニズムを中心として、枠組条約を強化していくことが求められるであろう。
わが国がアジアの中で主導的役割を果たし得るためには、環境と経済の統合を推進する国際的メカニズムの構築に耐えられるよう、まず国内制度の整備が他国に遅れをとることのないよう努力しなければならない。
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